いまよりもっと映画がぎらぎらしていた頃に作られた、時に手に汗握り、時にドン引きする傑作群を上映する特集「新宿ハードコア傑作選」は2025年に敢行されてしまい、リチャード・フライシャーの『10番街の殺人』(1971年)や『テロリズムの夜/パティ・ハースト誘拐事件』(1988年)などの衝撃作のつるべ打ちで観客をノックアウト。今年も「新宿ハードコア傑作選2」と題し、珠玉の5作品がそろった。

ニューヨークのハーレムを舞台に、誠実な黒人警部とろくでなしの白人刑事がコンビを組み、マフィア絡みの強盗事件を追う『110 番街交差点』(1972年)は、ボビー・ウーマックのソウルビートが炸裂するポリスアクション。賄賂、暴力、差別と3悪そろった白人中年刑事の老害ぶり。疾患を抱えた黒人犯罪者の悲哀を感じさせつつ、外道さを見せることで何も言いわけをさせない厳しさ。そして、同72年にはイタリアでアジア人と白人が激突する『ドラゴンへの道』が作られるという映画史の国を超えたリンクにも注目したい重要作。
『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』(1979年)は『エクソシスト』(1973年)の原作者であるウィリアム・ピーター・ブラッティが監督を務め、神と狂気とヒトが織り成す壮大な神話を描き切った情念の一作。
皆大好きリチャード・フライシャーの『センチュリアン』(1972年)は警察映画の最高峰かつ、社会で人が働き、生きることの苦しみを見つめた労働映画の傑作。当時の広告「ラストの想像を絶する衝撃」は伊達じゃない。ベテラン警察官役のジョージ・C・スコットが見せる悲哀は人ごとではなく、誰もが自身に重ね合わせてしまうだろう。
アメリカ映画で日本式の“討ち入り”を描き切った唯一の作品『ザ・ヤクザ』(1974年)。トイレで「田中です」と自己紹介するだけであれだけの凄みを出せるのは高倉健だけ。そして鳥居の前でガンガン路上喫煙するロバート・ミッチャムの異邦人感。ジェームズ繁田の不肖の息子役(クレジット名は”spider”!)で郷英治も出演のわびサビを感じる任侠大作。

そして、実在の殺人事件をもとにした『オニオン・フィールド』(1980年)がトリを飾る。『センチュリアン』の原作者、ジョゼフ・ウォンボー原作の小説はトルーマン・カポーティの『冷血』以来、最高の犯罪記録と評された。悪賢いチンピラを狂演したジェームズ・ウッズやジョン・サヴェージ、フランクリン・シールズら豪華キャストを迎え、名匠ハロルド・ベッカー監督が完全映画化。人間の邪悪な心の深奥に迫る衝撃作だ。
どれもスクリーンで観られる機会の少ない貴重作。見逃すなかれ。
「新宿ハードコア傑作選2」は4月17日~5月21日 シネマート新宿にて開催中。
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