『プッシャー』トリロジー絶賛上映中!

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 世界に衝撃を与えたデンマークのクライム映画『プッシャー』3部作が4Kデジタル修復版としてよみがえった。
 デンマークが生んだ鬼才監督ニコラス・ウィンディング・レフンの長編デビュー作『プッシャー』(1997年)。ろくでなしの犯罪者(まともな犯罪者などいないが)が窮地を打開しようとコペンハーゲンを疾走しながらも、結局はひたすらに墓穴を掘り進める、黒い笑いとドキュメンタリータッチが融合した新しい犯罪ものだった。北欧の至宝ことマッツ・ミケルセンが助演しており、第2作『プッシャー2』(2004年)では主役に昇格。刑務所から出て、まっとうになろうと一瞬思うもすぐさま悪の道へ舞い戻るクズが、自身の子供の存在を知らされたことで、はきだめから脱出しようとあがく。なお、ドキュメンタリー『ギャンブラー ニコラス・ウィンディング・レフンの苦悩』(2006年)では、実際に犯罪歴のある人物が多数出演している『プッシャー2』の制作中、演者のひとりが「テレビで”自身自身”を演じていると報道されたが、そこまで悪事に手を染めていないし、いまは更生しているのに誤解される」と嘆く。合わせて観ることをお勧めする。

 3作目の『プッシャー3』(2005年)では、過去2作で暗躍した裏社会の顔役ミロが主人公。ドラッグを断ち切る自助会の参加、娘の誕生日の準備、そして密売に絡むトラブル。『グッドフェローズ』(1990年)の“最後の一日”に比肩する、怒涛のワンデイムービー。傑作マフィアドラマ『ザ・ソプラノズ』にも通じる哀愁と家族愛、そして人間の変われなさ。諸行無常の響きが全編に渡る傑作だ。この虚無と静かな怒りは、いましろたかし漫画にも通じる文学性を感じる。ズラッコ・ブリック演じるミロの顔からはおよそ人間が経験しうる、人生の清濁すべてが刻まれているようで、拝みたくなることだろう。
 2013年に東京のオーディトリウム渋谷で3作が1週間限定上映されたことがあり、その際のチラシのコピーが「なんでなんだっ!! もう耐えられねぇっ! 」だった。まさにこの言葉が示すとおり、それぞれの主人公たちは耐えかねた末に、一線を超える。その感情の爆発をぜひスクリーンで浴びてほしい。

トレーディングカードなどの入場者プレゼントもうれしい
※実施状況や配布状況は各劇場により異なる場合があります。

『プッシャー』3部作4Kデジタル修復版は東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国公開中。